幸福な猫

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新宿のメイドバーでお給仕する月詠みことのブログです。

アイドル文化に触れたきっかけの話

もう10年くらい前の話。ただの腐女子だった私が、突然ハロプロを好きになった。モーニング娘。とか、℃-uteとか、いろんなアイドルが所属しているハロー!プロジェクトだ。

それまでアイドル、というか三次元を好きになったことは殆どなかった。小さい頃はミニモニ。が好きで、友達とミニハムずごっこをしたり(なにその遊び?)、一生懸命テレビを見たりしていたが、それも本当に幼少期の話。ある程度育ってからは、人の顔の良し悪しにも芸能人にも興味などなく、もう普通に二次元が至高だと思っていた。ひたすら好きな作品の二次創作を描き続ける、オタクの典型。

アイドルを好きになった時は、自分でも結構驚いた記憶がある。


当時どうしようもないオタクだった私は、ニコニコ動画をずっと見ていた。くだらないMADとかを見てひとりで喜んでいた。毎日見ていく中で、そのうち踊ってみたカテゴリの存在を知った。当時の踊ってみたは、マスクをつけた素人の女の子たちが自分の部屋で踊った動画を投稿して、オタクたちからチヤホヤされているような雰囲気。今のように高いクオリティーの動画は多くなかった。しかし元々自己表現ならなんでも好きだった私は、誰でも発信できる場があることを知り、ワクワクした。自分も真似してダンスを踊りたい、と思うようになる。

しかし、すぐに立ち止まってしまった。流行っている動画、全然面白くないなと。顔が可愛い、スタイルの良い女の子が踊ることが良い、みたいな風潮にはすぐ嫌気が差した。再生回数が多い動画は、投稿者たちのビジュアルの良さだけで視聴されているものが多いような感じがした。ダンスってこうじゃなくないか?

私は美意識みたいなものは全くなかった。生粋の泥臭いオタクだったから。可愛い人ってそういう生き物だと思っていて、自分が可愛くなりたいとかは思ったことも、可愛くなれるとも思ったことがなかった。そういう枠の中にいない人間だと思っていたから。だから可愛い人の上手じゃないダンスに価値は感じなかった。

そんな感じのわりに、絵も歌もダンスも一輪車も大好きだった。人前に出たら目立ちたがり屋だった。つまり、ただ自己表現がしたかったんだ。カッコよくダンスが踊れたら最高だなって思った。

そうやっていろんな振り付けを探してゆく中で、当時流行っていた48系列の動画もサラッと見たが、なんだかしっくりこなかった。じゃあ、私は何なら良いんだろう。踊ってみたタグを巡回してゆき、そのうち私はBerryz工房の「青春バスガイド」を踊っている動画に出会う。

アイドル。全然興味ないけど見てみよう、と思い視聴開始。

 

「あれ?これってイナズマイレブンのEDテーマじゃん!!!」オタクにとって、アニメのテーマ曲を歌っている人たちは、自分にとって少し身近なアーティストなのだ。「そういえばこの曲、結構好きだったかも…。」これがきっかけとなり、私は今まで触れてこなかったハロプロの動画を見ることにした。

正直、最初「ハロプロの歌詞、なんかやだ!!!」と思った。彼女らはアイドルのはずなのに、なんでこんな曲を歌わせられてるのかと。

その頃印象深かったのは、モーニング娘。の「男と女のララバイゲーム」という曲。

 

 

付き合って別れて…女と男のさだめ…?この曲の歌詞は浮気とか抱かれるとか、そういう過激なワードが散りばめられていた。恋愛ともアイドルとも無縁だった子供の私は、かなり困惑した。恋愛ってこんな思いしなきゃいけないんか?ちょっと、いろんな刺激が強すぎた。そもそもこんな恋愛の歌をアイドルに歌わせるって、一体どうなってるんだろう。まあ結構な衝撃を受けた。

しかし、いろいろな動画を見ていくうちに「いや、ハロプロってダサかっこいい…???」と思い始めたのだ。そう、ハロプロのグループは総じてパフォーマンスやビジュアルのクオリティーが高い。どんな曲でもばっちりキマってる。そしてアイドルにわざわざ歌わせるの?と思った曲も、自分にとって気持ちいい音の骨組みが多いことに気付いた。心地よい音作りだし、なんだかいやらしさがない。どんなにセクシーな曲でも、一見よく分からない歌詞でも、力強さと品がある。私は下品な「性」がめちゃくちゃ嫌いなのだが、ハロプロには感じなかった。それは彼女らの持つパフォーマンス力だったり、そうさせないプロデュース力だったりするのだろう。

わりとすぐに「最高の宝石箱を見つけてしまったのでは」みたいな気持ちになった。


ハロプロの中でも、とくにBerryz工房はたくさん見て聴いた。曲もダンスも他のグループより親しみやすかったのだ。良い意味でカッコ良すぎない・可愛すぎない・面白すぎない、でもみんな個性的で、身長もバラバラなのにちょうどよくまとまって、見ていると楽しい気分になった。彼らの曲をずっと聴いて、動画を見ながら振り付けを覚えて、新しい趣味をエンジョイしていた。あくまでもダンスのために見始めたハロプロを、気が付いたら大好きになっていった。

 

(思ったより長くなってしまったので、続きをまた明日書きます。このテーマに大したオチはなく、ただアイドル文化に目覚める過程を綴ります。)