幸福な猫

幸福な猫

新宿のメイドバーでお給仕する月詠みことのブログです。

空間の架け橋 日常に寄り添う煙

自分の勤め先の系列店、メイドシーシャバーでお給仕することがたまにある。この前、オープンして1周年を迎えた店舗だ。メインのお給仕店舗は、副店長を務めるメイドバーの方なので、シーシャの出勤頻度はざっと月に4、5回くらい。

 

私は元々シーシャを吸いに行くのが好きだった。数年前から友人だった、メイドシーシャ専任スタッフ・煙屋みなみと会う時は、いつもシーシャを吸いに行っていた。たまに会ってシーシャ屋に行き、近況報告会をする。お互いの空いた時間にちょこっと集合して、シーシャを吸ったら仕事に行く、みたいな。私たちはそういう友達だった。

趣味の少ない私にとって、シーシャも貴重な自分の世界のひとつだった。煙が好きなのはもちろんだが、その空間が好きだった。パーソナルスペースが広く取れて、あまりうるさくない、友人と気兼ねなくお話できる心地よさ。

「お茶もお酒もご飯も要らないけど、なにかぼんやりと楽しいことがしたい。」私はこういう気持ちになることが多いのだが、シーシャ屋は全部叶えてくれるから大好きだった。ひとりでも友人とでも行ける場所。「いつかシーシャを作る仕事もしてみたいなあ」なんて密かに思っていた。


そしたら、系列店としてメイドシーシャをオープンすることが決まった。シーシャが好きだとよく言っていたので、私もお給仕させてもらえることになった。めちゃくちゃ嬉しかった。ちょっとした夢リストの上位項目がうっかり叶ってしまうのだ。シーシャ友達だったみなみちゃんも店に誘った。その時たまたま暇そうだったし、彼女は五感が繊細なのでシーシャ作りとか向いてそう〜となんとなく思った。

実際みなみちゃんは勉強熱心な性格も作用して、あっという間にいろんなことを吸収していていった。私は彼女の知識にたくさん助けられながらお給仕している。もちろんみなみちゃんだけじゃなく、ほぼオープンからいてくれているれなこさん、自分より後に入ったスタッフたちも、みんな真面目で勉強熱心な人ばかり。常にいろんな人に助けられながらシーシャを作っている。頼りないけど、本当にお世話になりっぱなし。


私はシーシャを勉強し始めたとき、正直「理科じゃん」と思った。私は理科が一番苦手科目だ。熱の上がり方とか味の出方とか、理屈で覚えることが本当に出来ない。本当に理科が出来ないから。(何度も言うけど本当に出来ない。数学なんかよりも全然できない)

しかし「向いてない」と落ち込むのはやめて、開き直って、感覚で覚えてゆこうと切り替えることにした。時間はかかるかもしれないけど、自分の経験と感覚で割り出したものを正解としてゆこうと思っている。自分のペースで美味しいものを作れるようになろうと。みことは足し算ができないけど掛け算はできるねってお客さんに言われて、本当にその通りだなと思った。

正直、他の専任スタッフよりもお給仕回数が少ないから、上達も遅いし視野も広がりづらい。悔しいけど、ある程度受け入れることにしている。全てを完璧にやろうとしても、こなせるだけの時間がない。ないものはしょうがないので、私は自分の役割をしっかり定めてそこに向かおうと心掛けている。


私がここで出来ることってなんだろう、と考えたとき、最初に思ったのは「メイドとシーシャの架け橋になること」だった。メインのメイド店舗は毎日のようにお給仕しているので、よく知っているお客さんも多くいる。その人たちは私がシーシャ店舗でお給仕した時にわざわざ遊びに来てくれることがある。シーシャって楽しいねって喜んでくれて、シーシャを好きになってくれた人も多い。ディズニーランドみたい!(?)って喜んでくれた人もいて、可愛かったな。

自分の好きなことを好きな人たちが楽しんでくれる姿を見れるのが嬉しかったので、その逆も実現したらいいのになあと思って、この1年くらいお給仕してきた。

シーシャとメイドってあまり関係ないけど、人は居心地の良い場所に集まる生き物だと思っている。どんなお店でも居心地って大事なんだ。些細な気配りや会話ひとつで人の心は満たされる。私がそうだったから。この1年は、そういう穏やかな空気を作ることに集中してお給仕してきた。


そして、シーシャ好きのお客さんに「人生初めてのチェキを撮った」と言ってもらえることが増えた。シーシャ屋にしか行かなかった人たちと仲良くなれて、ありがたいことに私を推しだと言ってくれる人までいる。ものすごく嬉しいこと。はじめてメイド喫茶に行く時は誰だって怖いはずなのに、勇気を出して来てくれる人がいる。仲良くなれる人の幅が広がって、本当に幸せ。自分の目標・行動はきっと無駄じゃなかったんだなあと思えた1年になった。


疫病によって営業自粛が始まり、シーシャを店舗で吸えなくなった私は、最近家でシーシャが吸える環境を整えた。おうち時間で、もう少しシーシャについて学びたいと思った。揃えてしまったら、なんだかんだ毎日吸うようになった。今のところ、かなりいい感じ。日常に煙がある喜び。家シーシャの機材は、自店舗の機材と少し違うので、改めてシーシャの構造とかについて考える時間が増えた。その違いについて考えるだけでも勉強になる。

1年目の目標は「空間の架け橋」だったけど、2年目の目標は「基本の見直し・技術の向上速度を上げる」です。ここに重点を置きます。初心に帰ります。自粛中にもう少しなんとかなりたい。よろしくお願いします。