幸福な猫

幸福な猫

新宿のメイドバーでお給仕する月詠みことのブログです。

厚塗りしすぎた油絵

自分という人間は、ちょっとペラく見られるような気がするのが悩みだった。いや、ホントは中身がギュッと濃縮されている(と思っている)。私の脳味噌のコップには、カルピスの原液みたいな濃度の思想の原液が貯蓄されているのだ。不安になる形容だね。この思想、ストレートではちょっと飲みづらいから、少しずつ薄めて人様に飲んでいただいてるような感じ。他人にあまり見せないような所だって、まだまだたくさんあるし、そんな部分も含めて「人様を飽きさせない面白みは、わりとあるんじゃないか」と開き直りつつ、あらゆる出力のヘタクソさも相まって、どことなくハリボテっぽく見られていないか、という不安に襲われる。これは自信のなさなのか、なんなのか。ぼんやりとワイプのように悩んだり、ちょっぴり気にしながら過ごしてきた。


とはいえ、意識的にそうしてきたような部分もある(めんどくさいな、こいつ)。というのも、「それっぽく見せる」ことに重点を置いて、この数年生きてきたから。

昔から私の周りには、常にたくさんの女の子たちがいた。学校も習い事もアルバイトも。そんで、それぞれみんな好き勝手なおしゃべりをしている。嘘か本当かわからない、なんの証拠もないような噂話が、さぞ真実かのように扱われているのを、幾度も目の当たりにしてきた。その度に心がちょっと疲弊する。自分の目で確認していない情報に、信用するだけの価値はあるのかな、と私は思ってしまうのだ。人間は真実しか話さないという前提があるわけでもなく、なんならその逆がほとんどじゃないか。人間の口から聞くものは、すべて語り手というレンズを一枚隔てた上での世界でしかないのだ。こうだから良いとか悪いとか、ホントはそんなもの存在していなくて、見聞きして人の感覚にかなり左右されている。まあ、つまり、他人の感覚に自分の価値判断を任せるのはスマートじゃない気がしていて、ちょっと嫌だなって。そういうことだ。

同時に、映し出されない真実に意味はないのかな、と思うようになった。目に見えるものだけが証拠であり、どう見られるかだけが全てだと。愛想の良さとか、そういうわかりやすいものだけではなく、すべてひっくるめた「総合的な印象」しかその人を判断する方法がない。どんなに真面目にやっている人も、他者が見たときに真面目に見えない行動しか取っていなければ、周囲の認識は「真面目じゃない人」だろう。逆もまた然り。おかしいけど、そういうことだろう。そういうのは全然好きじゃないけど、逆手にとってやろうじゃないか、みたいな精神で生活してみた。


おかげさまで、それっぽさはなんとなく出てきたのだ。こう見られたいな、という指針を定め、そこに近づくための印象作りをなんとなく心がけている。足りないものは補って、余分なものはうまいことカットして。そうやって、ネオ自分みたいな存在をチマチマ構築してみた。

やりすぎて、いつか擦り切れてしまわないように、調整しながらやってみた。それでも、歪みは少しずつ現れてきたように思える。何にも装飾されていない元の自分、積み上げている方の自分、乖離した自分の溝が、自分でも怖いのだ。なんだこれは、と不安になる。そして最近気づいた。今の自分はかなり胡散臭いぞ、と…。側から見たら、かなり苦手なタイプだわ。いや、そりゃそうなんだけどさ。持ってないものを無理やり足して、作り上げてるからね。大元の自分とズレてる違和感、完全に隠し切れるわけないのだ。厚塗りしすぎた油絵のような、胡散臭さ。

ちなみに弟に相談したら「お!自分で気付けたのか!偉いな!」と言われた。早く言ってくれよ。こんなに近い人間でも教えてくれないんだな。クソ…。私は悔しいよ。トホホ…


そして、私はこれに気づいてから、とっっっても焦った。努力した結果がこれなんかと。あれもこれも欲しい、をしすぎた結果、なんかごちゃごちゃしてしまったのかなと。いや、それはそれで良さだったりするんだけどね、私が自身に求めているのは「自分の好きな自分になること」だから、ちょっと違うのだ。胡散臭いものは好きだし、選んで身につけてきた。購入時がマックスの買い物、分かりやすい例えだと「私が着たらかっこいいと思うダサい服、敢えて買う」とかね、そういうのをたっっくさん繰り返した。やりすぎたよ。そのせいで、透明感がマイナスになってしまったことが一番悲しい。見た目も中身もペラくみられたくないよ…….。頼む!!!!!!!透明感、わいてくれ!!!!!!!!!

 


…そんな願いを叶えるために、足し引きし直すことにした。過剰装飾で透明感がなくなったので、余分なものを捨てようかなと。足りない透明感を補う努力もする。第一段階として、髪色の変更(ノイズを減らす)と食事制限(余分な脂肪は邪魔なので)に取り組んでみることにした。


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まだ馴染まないけど、馴染ませたい。今後どうなるかな。

 


ここまで書き終えた後に、シーシャ専任メイドのれなこさんに「胡散臭さが、良いところなのに」と言ってもらって、嬉しくなった。試行錯誤して作ったキモさたち、無駄ではなかったかも、と思えた。無駄にしないまま、レベルアップするぞ。自分は見失わない。