幸福な猫

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新宿のメイドバーでお給仕する月詠みことのブログです。

続 アイドルに文化に触れたきっかけの話

昨日の続きです。

前回→アイドル文化に触れたきっかけの話 - 幸福な猫


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ダンスが好きだった私は、気がついたらアイドルの動画をよく見るようになっていた。曲最高!パフォーマンス最高!そんなノリだけで見ていた私が、はじめて彼女らのことを「アイドル」として認識したのは、この人のことが好きかも…と思うアイドルを見つけたのがきっかけだった。それはBerryz工房嗣永桃子さん。上品な顔立ちが気になって調べていると、まさかのぶりっこキャラでビックリした記憶がある。うわ、アイドルって本当にぶりっこするんだ、みたいな。

ぶりっこする人って自分とは縁が遠かったし、そういうのはあんまり好きじゃなかった。なのに、好きになっちゃったんだ…

彼女のぶりっこは徹底されすぎていたのだ。アイドルとしての仮面を常に身につけているようだった。なんというか、立ち振る舞いにすごく知性を感じるのだ。彼女が芯の通った強いぶりっこを常に行なっていたから。完成されていたから、全然サムくなかった。アイドルなんてよく知らない私でも分かるくらい、アイドルとして完成されていた。


私は筋金入りのVIPPER(目も当てられないガキ)だったので、2ちゃんねるが大好きだった。当時の2ちゃんねるでも、ずっとハロプロのスレを見ていた。お気に入りは「もぎたて桃子のキャンパスライフ」シリーズ。それぞれの名無しが、自由に嗣永桃子さん(もしくは他メンバー)とのキャンパスライフを妄想。最後は「こりゃもぎたてを召し上がれってことか」の一文で閉めるのが定番。ただ、それだけのスレ…。私は心が男子中学生なので、こういうリアルな妄想がいちばん楽しかった。学校というシチュエーション、なんか良くないですか?当時学生だったのに、華やかな青春とは程遠かった自分は、妄想や二次創作で「学校生活」を補った。いや補えていないだろうな。可哀想に…。

 

この後どんどん好きなアイドルが増えてゆく。お得意の2ちゃんねるで好きなメンバーのグループ卒業後を調べたりして、1人で咽び泣いていた。メンバーとクラスのみんなで写ってる写真が流出するたびに、知らない感情がたくさん溢れてきた。生きてるけど、もうアイドルじゃないんだ…。

 

何事にも拗らせやすい私は、「三次元」なのに「偶像」であるアイドルを、なんとも曖昧で美しいと 想いを馳せてゆくようになった。これらの気持ちは、自分がメイドを始めた時にもかなり意識していた。人じゃないけど人だから、普段の自分ではいけないし、曖昧でいなくてはならないのだなと思った。今は店舗が構えている土地、自分の立ち位置、そして自分らしさ、など いろいろなことを考慮した上でのお給仕を心がけている。この辺の心境の変化、アイドルに影響を受けていた時期のお給仕については、また別の機会にでも。

 

生きている人間を応援できるのって、不思議だった。二次元にしか興味がなかった私にはとても新鮮で、応援している人が生きている驚きが常に付き纏う。なんなら、まだ慣れない。すべてのアイドルは人間なのに、自分と同じ人間であることがちょっと嫌だ。人間だと思わせないような、超越している存在が好きかもしれない。推しとは一生会えなくても全然良い。私のような凡人に手の届かない存在になってくれ、アイドルたちよ。

 

これらはメイド喫茶ではじめての推しメンを見つけるより、少しだけ前のお話。この後メイドになった私は、ゆっくりと、着実に、メイド喫茶のオタクという属性もゲットしてしまった。キモいオタク、一丁上がり…。